自動車保険のケガの補償である「搭乗者傷害保険」これは近年縮小されてきた特約なのですが、必要がなくて縮小されてきたのでしょうか?
この補償の必要性について少し考えてみたいと思います。
搭乗者傷害保険の経緯
搭乗者傷害保険は文字通り、契約している車に乗っている人の補償です。
人身傷害保険が普及するまでは、搭乗中の人のケガを補償するものはこれだけでした。
「傷害保険」の名前の通り、定額で保険金が支払われます。
- 死亡・後遺障害
- 入院日額
- 通院日額
- 一時金
このようなものが支払われます。
10年以上前までは入院日額15,000円、通院日額10,000円という補償も普通にありました。
現在も、法人が加入できる保険には付けられるところもあります。
この場合、入院しなくても通院をするだけで1日10,000円もらえます。
交通事故に遭ったのは不運なことですが、1日病院に通うだけで10,000円もらえるのであれば毎日通う人もいるようで保険会社の損害率悪化の原因にもなっていました。
現在、個人で加入できる搭乗者傷害保険では、死亡・後遺障害は今までどおりですが、入院または通院を5日以上した場合に一律で10万円など、入通院の補償が薄くなってきています。
だからというわけではないのですが、定額で補償するものではなく実損型で支払いされるケガの保険が誕生しました。
それが「人身傷害保険」です。
人身傷害保険と搭乗者保険の違い
両者の違いとしては、搭乗者傷害は死亡1000万円や入院1日15,000円など、定額で補償される点です。
一方、人身傷害保険ではケガの治療に掛かった実費が支払われます。
まず、ここが一番大きな違いです。
もう1つの大きな違いとしては、搭乗者傷害は示談交渉で過失割合が確定してからしか支払われないのにたいして、人身傷害保険では過失割合に関係なく支払われます。
交通事故でケガをして治療に行くのに自腹で治療費を出していくのは辛いものです。
人身傷害保険ではこの過失割合の有無が関係なく支払われるので、治療費は負担がなくて済みます。
保険会社が病院へ直接お金を保険金として支払ってくれます。
また、人身傷害保険では治療費の他にも休業補償なども支払われます。
事故で仕事ができなくなってしまったようなケースでも安心ですね。
あと、人身傷害では死亡や後遺障害の場合でも、逸失利益を支払ってもらえます。
つまり、死亡や後遺障害で働けなくなった場合に、「事故がなくてこの人が働いていたら、この先どれくらいお金を稼ぐことができたか」というものです。
合わせて、重度の後遺障害が残ってしまった場合には介護費用なども発生してきます。
その費用も本来であれば掛からなかった費用なので「逸失利益」に含まれます。
両者を比べると本当に大きな事故が起こった場合には「人身傷害」の方がメリットがあります。
それでも搭乗者傷害保険は必要
保険は何を付けて、何を切り捨てるかという選択が必要だと思います。
すべての補償を付けられるのなら付けた方が良いですが、保険料がかなり高くなってしまいます。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険のどちらかを選ぶとなれば、後者を選びます。
しかし、大きな事故が起こった場合を想像してみてください。
治療費や休業補償、逸失利益は人身傷害から支払われますが、搭乗者傷害保険を付けておけば別枠で死亡の場合1000万円などが支払われるのです。
私なら、生命保険も入っていますが、家族にはできるだけたくさんのお金を残したいと思います。
小さな子供を持つ親なら当然です。
しかも、保険料はそれほど高くはありません。
できれば、人身傷害保険と搭乗者傷害保険、両方共付けておくことをおすすめします。