自動車保険の「搭乗者傷害保険」のデメリットについてお話したいと思います。
これは5年位前でしょうか、それくらいまではこれはメジャーな特約でしたが、近年なくなる方向になってきています。
それは、保険会社にとっても契約者にとってもデメリットが大きいからです。
搭乗者傷害保険のデメリット
搭乗者傷害保険のデメリットとしては
- ケガをした本人へ直接支払い
- 過失割合が決定後に支払われる
この2点です。
搭乗者傷害保険はケガをした本人への直接支払い
これは「何がデメリットなの?」と思われるかもしれません。
しかし、ケガをしたのが契約者や家族以外の人だった場合、例えば友人などですね。
あとは、法人で契約をしていて、従業員がケガをしたようなケースなどでは、直接1000万円や500万円といった保険金が本人に支払われます。
また、入院補償や通院補償も保険会社によってはまだあります。
通院で10000円の補償を付けていて10日間通院した場合、15万円ものお金が本人へ支払われることになります。
本人は喜ぶかもしれませんが、必要以上に通院をしたり、従業員の場合だと働かずにお金が入ってくるので労働意欲の低下につながりかねません。
就業中の場合には労災からもお金が出ますよね。
同乗していた友人の場合でも、定額で支払われるのはあまり気持ちが良いものではありません。
過失割合が決定後に支払われる
これは大変なデメリットです。
自動車事故の場合、軽微な事故であっても、お互いの主張が食い違えば示談交渉が長引きます。
こちらは2対8の主張でも、相手は4対6の主張になることもあります。
これを良い方向に持っていくのが示談交渉なのですが、お互いの契約者が納得しないと交渉が長引くことがあります。
搭乗者傷害保険は過失割合が決まらないと支払われません。
交渉が難航し何ヶ月も経ってしまうと何ヶ月もお金が受け取れない状況となってしまいます。
最近は人身傷害保険が普及してきていますが、搭乗者傷害保険のみを付けていた場合には大変です。
その間のケガの治療費が自己負担になってしまいます。
ちょっとしたケガであれば問題ないのですが、大怪我をした場合なら負担も大きくなってしまいます。
搭乗者傷害保険よりも人身傷害保険がおすすめ
こういったデメリットから登場したのが「人身傷害保険」です。
これは過失割合に関係なく、先行して治療費を支払ってくれるものです。
事故の際の治療費負担を減らすには非常に助かる特約ですのでおすすめです。
保険会社としても事故対応がスムーズに行くのでこちらを推進されています。
保険会社としての搭乗者傷害保険のデメリットとは
この特約は、保険会社としてもデメリットがあります。
契約者側には関係のないところなのですが、保険会社の支払が多くなってしまうということです。
例えば、通院で10,000円定額で支払うことになると、30日通われると300,000円です。
90日間で90万円です。
1日通院するだけで1万円もらえるのであれば、できるだけたくさん通った方が得になります。
治療実費を支払うだけならそれほど多な金額にならなくても、定額払いになってしまうと保険会社全体でみると、かなり支払額が大きくなってしまいます。
さらに後遺症が残ってしまったら後遺障害保険金が支払われるので、さらに数10万円~数百万円の支払いとなり、収支を圧迫してきました。
そこで、こういった搭乗者傷害保険は入院や通院の日額補償はなくなってきて、5日以上通院したら10万円など、保険会社がお金を一度支払ったらそれで終了という比較的薄い補償になってきています。
今後も手厚い補償になるということは考えにくいでしょう。
少し余談が入りましたが以上が、搭乗者傷害保険のデメリットです。